株式会社ことらは、個人間の小口送金サービス「ことら送金」の累計送金金額が3兆円を突破したと発表した。 ことら送金は、2022年10月11日に20社でサービスを開始した銀行間送金サービス。現在は対応事業者が424社まで拡大し、10万円以下の個人間送金を、対応スマートフォンアプリから原則無料で利用できる。 口座番号による送金に加え、対応アプリによっては携帯電話番号などを使った送金にも対応しており、家族間の資金移動、友人との割り勘、複数口座間の資金移動など、日常的な少額送金の手段として利用が広がっている。 ことら送金とは ことら送金は、10万円以下の個人あて送金をスマートフォンから行える小口送金インフラだ。従来の銀行振込と異なり、対応アプリによっては携帯電話番号などを使って送金できる点が特徴となっている。 送金手数料は各金融機関・事業者が決める仕組みだが、現在サービスを提供している多くの金融機関では無料で利用できる。銀行口座間で少額を動かす際の手数料負担を抑えられることから、日常使いの送金サービスとして存在感を高めている。 主な銀行の対応を時系列で振り返る 2022年10月:メガバンクなど20社でサービス開始 ことら送金は2022年10月11日、20社でサービスを開始した。 開始当初から、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行といったメガバンク・大手銀行が参加。横浜銀行、福岡銀行などの主要地方銀行も加わり、銀行間の小口送金インフラとしてスタートを切った。 メガバンクが初期から参加したことで、ことら送金は単なるスマホ決済アプリの送金機能ではなく、銀行口座を基盤にした新たな個人間送金サービスとして位置づけられた。 2022年11月:対応行が31行に拡大 サービス開始から約1カ月後には、対応行が31行に拡大した。 京都銀行、きらぼし銀行、静岡銀行、七十七銀行、千葉銀行、西日本シティ銀行、北陸銀行、北海道銀行、山口銀行などが加わり、地方銀行への広がりが進んだ。 この段階では、都市部だけでなく各地域の主要地銀が順次参加し始めたことが大きな特徴だった。 2023年4月:対応行が49行に 2023年4月には、対応金融機関が49行に拡大した。 伊予銀行、鹿児島銀行、四国銀行、中国銀行、八十二銀行、北洋銀行などの地方銀行に加え、ネット銀行系の「みんなの銀行」も対応した。 この時期から、ことら送金はメガバンクと一部地銀のサービスから、より広い金融機関ネットワークへと拡大していった。 2023年8月〜9月:信用金庫を含め207先に急拡大 2023年夏から秋にかけて、ことら送金の対応先は大きく増加した。 SBI新生銀行、群馬銀行、第四北越銀行、筑波銀行、武蔵野銀行、琉球銀行などが加わったほか、多数の信用金庫が参加。対応先は207先まで広がった。 これにより、ことら送金は大手銀行・地方銀行中心のサービスから、地域金融機関を含む小口送金インフラへと性格を強めた。 2024年2月:ゆうちょ銀行が対応 大きな節目となったのが、2024年2月のゆうちょ銀行の対応だ。 ゆうちょ銀行は「ゆうちょ通帳アプリ」でことら送金の取扱いを開始した。全国に広い口座基盤を持つゆうちょ銀行の参加により、ことら送金を利用できる人の裾野は大きく広がった。 銀行間の少額送金サービスとして普及を進めるうえで、ゆうちょ銀行の対応は重要な転換点だったといえる。 2024年8月:住信SBIネット銀行が対応 2024年8月には、住信SBIネット銀行がことら送金に対応した。 住信SBIネット銀行は、同社アプリや各NEOBANKアプリからことら送金を利用できるようにしたほか、条件を満たす振込でことら送金を自動適用する仕組みも導入した。 この対応により、ネット銀行利用者にとっても、ことら送金がより身近な選択肢となった。 2024年12月:390先に拡大 2024年12月には、対応先が390先に拡大した。 清水銀行のほか、多数の信用組合や労働金庫が加わり、地域金融機関のカバー範囲がさらに広がった。 ことら送金は、都市銀行や地方銀行だけでなく、信用金庫、信用組合、労働金庫を含む幅広い金融機関のサービスへと成長していった。 2025年3月:累計送金額1兆円を突破 2025年3月には、ことら送金の累計送金金額が1兆円を突破した。 2022年10月のサービス開始から2年半弱で1兆円に到達したことになり、無料の小口送金サービスとして利用が定着し始めたことを示す節目となった。 2025年10月:三菱UFJ銀行アプリでも利用可能に 2025年10月には、三菱UFJ銀行のスマートフォンアプリでもことら送金が利用できるようになった。 三菱UFJ銀行はサービス開始当初からことら送金に対応していたが、当初はBank Pay経由での利用が中心だった。銀行公式アプリ内で使えるようになったことで、利用者にとっては送金までの導線がより分かりやすくなった。 このように、対応銀行数の拡大だけでなく、各銀行アプリ内での使いやすさの改善も進んでいる。 2026年4月:対応424社、累計送金額3兆円を突破 2026年4月時点で、ことら送金の対応事業者は424社に拡大した。 あいち銀行、青森みちのく銀行なども加わり、対応金融機関はさらに増加。そのなかで、累計送金金額は3兆円を突破した。 2025年3月に1兆円を突破してから、送金額の積み上がりは加速している。ことら送金が、銀行口座を使った少額送金の選択肢として定着しつつあることがうかがえる。 メガバンクは初期から参加、アプリ対応は段階的に進化 ことら送金は、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行といったメガバンクが初期から参加していた点が特徴だ。 ただし、開始当初からすべての銀行公式アプリで同じように使えたわけではない。銀行によって、Bank PayやJ-Coin Payなど対応アプリが異なり、利用者にとっては「自分の銀行口座が対応しているか」だけでなく、「どのアプリから使えるか」も重要だった。 その後、銀行公式アプリ内での対応や、自動適用機能の導入など、使いやすさを高める動きが進んでいる。 主要ネット銀行では未対応の銀行も残る 一方で、主要ネット銀行の一部は、現時点でことら送金に対応していない。 対応事業者一覧を確認すると、楽天銀行、ソニー銀行、auじぶん銀行、PayPay銀行は掲載されていない。住信SBIネット銀行やみんなの銀行が対応済みである一方、利用者の多いネット銀行の一部が未対応である点は、今後の普及余地として残る。 ことら送金が銀行間の無料小口送金インフラとしてさらに広がるには、こうした主要ネット銀行の参加が次の焦点になりそうだ。 3兆円突破が示すもの ことら送金の累計送金額が3兆円を突破したことは、サービスが単なる新機能の段階を超え、日常的な送金手段として使われ始めていることを示している。 背景には、10万円以下の送金に特化した分かりやすさ、手数料無料で使える金融機関の多さ、24時間365日利用できる利便性がある。 特に、自分名義の別口座への資金移動、家族への仕送り、友人との割り勘精算など、少額をすぐに動かしたい場面では、従来の銀行振込よりも心理的なハードルが低い。 ただし、利用できるかどうかは、自分と相手の金融機関がことら送金に対応しているか、また利用するアプリが対応しているかによって変わる。対応事業者は424社まで増えたものの、主要ネット銀行の一部が未対応であることから、完全な標準インフラになるにはまだ拡大の余地がある。 まとめ ことら送金は、2022年10月に20社で始まった小口送金サービスから、現在では424社が対応する銀行間送金インフラへと成長した。 メガバンク、地方銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、ネット銀行の一部へと対応が広がり、累計送金額は3兆円を突破した。 今後の注目点は、楽天銀行、ソニー銀行、auじぶん銀行、PayPay銀行といった主要ネット銀行の対応だ。これらの銀行が加われば、ことら送金はさらに日常的な小口送金手段として使いやすくなる。 銀行振込とスマホ決済の間をつなぐ無料の小口送金サービスとして、ことら送金がどこまで普及するのか。対応金融機関の拡大と、各銀行アプリでの使い勝手の向上が今後のカギになりそうだ。
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SBI新生銀行、スマホ認証を刷新 VIP Accessに幕、自社アプリでの生体認証へ

SBI新生銀行は2026年3月29日、インターネットバンキング「パワーダイレクト」とSBI新生銀行アプリで使うスマホ認証を、従来の「VIP Access」アプリから「SBI新生銀行アプリ」を用いる方式へ切り替えた。新方式はオンライン認証の国際標準「FIDO」に準拠し、スマートフォンに登録した生体認証で取引内容を承認する。取引と承認が同行アプリ内で完結するため、別の認証専用アプリを行き来する手間がなくなる。VIP Accessの新規登録はすでに停止しており、同行は公式のお知らせで旧方式を2026年6月ごろ終了予定とし、FAQでは2026年5月末まで利用可能と案内している。 同行のスマホ認証の歴史は、少なくとも2017年8月28日に始まった「新生パワーダイレクト(スマホ認証対応)」までさかのぼる。2017年時点で、振込や振込限度額変更、パワーダイレクトパスワード変更、通知Eメール登録・変更などにスマホ認証が組み込まれ、2018年3月には投資信託口座開設、マイナンバー届け出、住所変更などもスマホ認証対応の画面から扱えるようになった。2020年2月には従来版の新生パワーダイレクトが終了し、2022年10月にはセキュリティ・カードの新規発行終了が公表、2023年5月以降は既存のスマホ認証に加えてSMS認証と電話認証への移行が進められた。今回の刷新は、そうした認証手段の再設計の総仕上げと位置付けられる。 VIP Accessを軸にした旧方式は、利便性の面で不満を抱え込んでいた。同行は以前から「プッシュ通知が届かない」「iPhoneでVIP Accessが正しく表示されない」といったFAQを公開し、VIP Accessを起動したままログインすると通知が届かない場合があることや、通知が来ないときはアプリを直接起動するよう案内していた。iPhone向けには、iOSやVIP Accessのバージョンが古い可能性を挙げてアップデートを促す個別FAQも用意しており、通知遅延や表示不具合が継続的なサポート項目だったことがうかがえる。 アプリストアでの評価も厳しい。2026年3月時点で、VIP Accessの日本のApp Store評価は5点満点中1.8(141件)、Google Playでは5点満点中1.5(約1.8万件)だった。App Storeの日本語レビューには、SBI新生銀行のことら送金で使おうとして何度も失敗した、起動が遅い、承認操作が反応せずタイムアウトしやすい、といった趣旨の投稿も見られる。レビューは個別利用者の体験談ではあるものの、銀行側が案内していたトラブル対処の内容と重ねると、「反応しない」「通知が来ない」といった不満が相応に広がっていたことは読み取れる。 そんな中での今回の変更は、単なるセキュリティ強化ではなく、2017年以来続いてきた「別アプリ承認」の終幕でもある。SBI新生銀行アプリへの認証統合と生体認証の採用で、長年の摩擦点だったVIP Access依存からようやく脱する形だ。新方式の安定運用が前提にはなるが、旧アプリに振り回されてきた利用者にとっては、もっとも分かりやすい改善策が実行に移されたと言えそうだ。

