
札幌市交通局と三井住友カード、JCBなどは、2026年3月26日から札幌市営地下鉄で、クレジットカードなどのタッチ決済による「クレカ乗車」の上限運賃サービス(PDF)を始める。
ポイントは、事前に1日券を買わなくても、その日の利用額が一定額に達したら自動で打ち止めになること。札幌市営地下鉄ではすでにタッチ決済による乗車サービスを実施しているが、今回はそこに「上限運賃」が加わる。観光や買い物、用事のはしごで何度も乗る日ほど、わかりやすくお得に、使いやすくなる。
サービス概要
新サービスでは、札幌市営地下鉄で同じタッチ決済カードや同じスマートフォンを使って乗車した運賃を1日単位で合算し、平日は830円、土日祝と年末年始(12月29日~1月3日)は520円で請求額が止まる。上限に届かなければ通常の運賃だけが請求され、上限を超えたぶんだけ自動で割り引かれる。
いわば、手持ちのカードやスマホが、その日だけ自動で「1日券」になるイメージだ。磁気券を券売機で買う手間がなく、札幌に不慣れな旅行者にもわかりやすい。
| 利用日 | 上限額 | 実質的に自動適用される券 |
|---|---|---|
| 平日 | 830円 | 地下鉄専用1日乗車券 相当 |
| 土日祝・年末年始(12月29日~1月3日) | 520円 | ドニチカキップ 相当 |
そもそも「地下鉄専用1日乗車券」「ドニチカキップ」とは
今回の上限額は、札幌市営地下鉄で従来から売られているお得な企画券に合わせたものだ。
地下鉄専用1日乗車券は、その名の通り地下鉄が1日乗り放題になるきっぷで、大人830円・こども420円。平日に地下鉄を何度も使う日に向く。一方、ドニチカキップは土曜日・日曜日・祝日と年末年始に使える地下鉄専用の1日乗車券で、大人520円・こども260円。週末に札幌中心部を回るときの定番だ。
ここで見逃せないのは、これらのきっぷが今も現金販売だという点。札幌市交通局の案内では、地下鉄専用1日乗車券もドニチカキップも、SAPICA残額やSAPICAポイント、クレジットカードでは購入できない。今回の上限運賃サービスは、そうした「現金で1日券を買う」流れを、タッチ決済側に取り込む動きといえそうだ。
| 券種 | 使える日 | 大人料金 | こども料金 | 購入方法 |
|---|---|---|---|---|
| 地下鉄専用1日乗車券 | 毎日 | 830円 | 420円 | 券売機・定期券発売所など(現金のみ) |
| ドニチカキップ | 土日祝・年末年始 | 520円 | 260円 | 券売機・駅事務室・定期券発売所など(現金のみ) |
どれくらい乗るとお得なのか
札幌市営地下鉄の大人普通運賃は210円~380円。これを踏まえると、平日の830円上限は、たとえば210円区間なら4回で840円となり上限に到達する。290円区間なら3回で870円なので、このあたりから1日券相当のメリットが出る。
一方、土日祝の520円上限はかなり低い。210円区間でも3回で630円になるので、週末に札幌駅・大通・すすきの周辺を往復したり、途中下車を交えたりするだけでドニチカキップ相当の水準に届きやすい。290円区間なら2回で580円なので、少し長めの往復だけでも上限にかかる可能性がある。
つまりこのサービスは、平日は「かなり動き回る日向け」、土日祝は「少し多めに乗るだけでも効いてくる」仕組みだ。
注意点は3つ
便利な一方で、今回の仕組みにははっきりした条件もある。
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| 対象は地下鉄だけ | 札幌市営地下鉄のみが対象。バスや路面電車など、他の交通機関は上限運賃の対象外。 |
| 同じカード番号でも媒体が違うと合算されない | プラスチックカードで1回、同じカードを入れたスマホで1回、という使い方をすると別計算になる。 |
| 大人料金のみ | タッチ決済乗車は大人普通料金のみ。小児料金、福祉割引、乗継割引は適用されない。 |
このため、「札幌の1日券が全部そのままタッチ決済化される」わけではない。あくまで今回ラクになるのは大人の通常利用で、小児や割引利用は引き続ききっぷやICカードが基本になる。
札幌だけではない 全国で広がる「上限運賃」
タッチ決済に1日上限を組み合わせる流れは、札幌だけの話ではない。たとえば横浜市営地下鉄は2025年3月から1日最大740円、ゆりかもめは2025年7月から1日最大820円の上限サービスを実施している。さらに福岡市地下鉄では1日640円の上限に加え、2024年10月からは1か月12,570円の月上限も導入している。
その中で札幌の特徴は、既存の「地下鉄専用1日乗車券」「ドニチカキップ」の金額を、そのままタッチ決済側に自動適用するわかりやすさだ。特にドニチカキップ相当の520円は、札幌の週末利用と相性がよく、地元利用でも旅行者利用でもメリットを感じやすい。
結論
今回の札幌市営地下鉄の上限運賃サービスは、難しい新制度というより、「現金で買っていた1日券を、クレカやスマホで自動化する」動きと見るとわかりやすい。平日は830円で地下鉄専用1日乗車券相当、土日祝は520円でドニチカキップ相当が自動で効く。
特に週末は恩恵が分かりやすく、札幌駅・大通・すすきの・円山公園などを何カ所も回るような日には使いやすい。一方で、地下鉄のみ対象、大人料金のみ、カードとスマホの混在利用は合算されないといった条件もある。便利になるのは確かだが、仕組みを知ったうえで使うと、より損がないサービスになりそうだ。

