
SBI新生銀行は2026年3月29日、インターネットバンキング「パワーダイレクト」とSBI新生銀行アプリで使うスマホ認証を、従来の「VIP Access」アプリから「SBI新生銀行アプリ」を用いる方式へ切り替えた。新方式はオンライン認証の国際標準「FIDO」に準拠し、スマートフォンに登録した生体認証で取引内容を承認する。取引と承認が同行アプリ内で完結するため、別の認証専用アプリを行き来する手間がなくなる。VIP Accessの新規登録はすでに停止しており、同行は公式のお知らせで旧方式を2026年6月ごろ終了予定とし、FAQでは2026年5月末まで利用可能と案内している。

VIP Accessの画面
同行のスマホ認証の歴史は、少なくとも2017年8月28日に始まった「新生パワーダイレクト(スマホ認証対応)」までさかのぼる。2017年時点で、振込や振込限度額変更、パワーダイレクトパスワード変更、通知Eメール登録・変更などにスマホ認証が組み込まれ、2018年3月には投資信託口座開設、マイナンバー届け出、住所変更などもスマホ認証対応の画面から扱えるようになった。2020年2月には従来版の新生パワーダイレクトが終了し、2022年10月にはセキュリティ・カードの新規発行終了が公表、2023年5月以降は既存のスマホ認証に加えてSMS認証と電話認証への移行が進められた。今回の刷新は、そうした認証手段の再設計の総仕上げと位置付けられる。
VIP Accessを軸にした旧方式は、利便性の面で不満を抱え込んでいた。同行は以前から「プッシュ通知が届かない」「iPhoneでVIP Accessが正しく表示されない」といったFAQを公開し、VIP Accessを起動したままログインすると通知が届かない場合があることや、通知が来ないときはアプリを直接起動するよう案内していた。iPhone向けには、iOSやVIP Accessのバージョンが古い可能性を挙げてアップデートを促す個別FAQも用意しており、通知遅延や表示不具合が継続的なサポート項目だったことがうかがえる。
アプリストアでの評価も厳しい。2026年3月時点で、VIP Accessの日本のApp Store評価は5点満点中1.8(141件)、Google Playでは5点満点中1.5(約1.8万件)だった。App Storeの日本語レビューには、SBI新生銀行のことら送金で使おうとして何度も失敗した、起動が遅い、承認操作が反応せずタイムアウトしやすい、といった趣旨の投稿も見られる。レビューは個別利用者の体験談ではあるものの、銀行側が案内していたトラブル対処の内容と重ねると、「反応しない」「通知が来ない」といった不満が相応に広がっていたことは読み取れる。
そんな中での今回の変更は、単なるセキュリティ強化ではなく、2017年以来続いてきた「別アプリ承認」の終幕でもある。SBI新生銀行アプリへの認証統合と生体認証の採用で、長年の摩擦点だったVIP Access依存からようやく脱する形だ。新方式の安定運用が前提にはなるが、旧アプリに振り回されてきた利用者にとっては、もっとも分かりやすい改善策が実行に移されたと言えそうだ。

