
住信SBIネット銀行は2026年7月31日、V NEOBANK(Vポイント支店)のポイントプログラムを、同年11月から改定すると発表しました。
円普通預金でもらえる月50ポイントを廃止するほか、デビットカードの還元率を1.5%から1.25%へ引き下げ。他行からの振込でもらえるポイントも半減し、電子マネーへのチャージや公共料金、税金、病院などはポイント対象外になります。
V NEOBANKの主な改悪内容
| 対象サービス | 変更前 | 変更後 |
|---|---|---|
| 円普通預金 | 10万円以上で月50ポイント | 特典を廃止 |
| デビットカード | 利用額の1.5%還元 | 1.25%還元、対象外取引を新設 |
| 他行からの振込 | 1件20ポイント、月最大500ポイント | 1件10ポイント、月最大250ポイント |
住信SBIネット銀行は「ドコモSMTBネット銀行」へ
住信SBIネット銀行は2026年8月3日、正式な銀行名を「株式会社ドコモSMTBネット銀行」に変更します。
「ドコモ」はNTTドコモ、「SMTB」は三井住友信託銀行の英語名であるSumitomo Mitsui Trust Bankを示すものです。長年使われてきた「SBI」の名称が消え、現在の共同経営者であるドコモと三井住友信託銀行を前面に出した銀行名になります。
銀行本体が個人向けに展開するサービスブランドも、従来の「d NEOBANK」から「ドコモの銀行」へ変更されます。
| 時期 | 主な出来事 |
|---|---|
| 2025年5月 | NTTドコモが住信SBIネット銀行へのTOBを発表 |
| 2025年10月 | 住信SBIネット銀行がドコモの連結子会社に |
| 2026年7月1日 | ドコモFGが新たな親会社・筆頭株主に |
| 2026年7月9日 | 「ドコモの銀行」とdポイント新特典を発表 |
| 2026年7月31日 | V NEOBANKのポイント改悪を発表 |
| 2026年8月3日 | 「ドコモSMTBネット銀行」へ商号変更 |
| 2026年8月20日 | dアカウント連携とdポイント特典を開始予定 |
| 2026年11月 | V NEOBANKの新条件を適用 |
V NEOBANKも中身は同じ「ドコモ傘下の銀行」
V NEOBANKは、住信SBIネット銀行とは別の銀行ではありません。
CCCライフパートナーズが銀行代理業者となり、住信SBIネット銀行のBaaS(Banking as a Service)基盤を利用して提供している「Vポイント支店」です。
銀行本体の個人向けブランドが「ドコモの銀行」になった後も、V NEOBANKやJAL NEOBANK、京王NEOBANKなどの提携サービスは「NEOBANK」ブランドを継続します。
つまり、V NEOBANKというサービス名やVポイント支店という位置付けは残りますが、その預金口座を提供する銀行の正式名称は「ドコモSMTBネット銀行」になります。
ポイントプログラムは提携先ごとに異なるものの、口座、決済、システム、デビットカードなどの基盤を提供しているのは同じ銀行です。そのため、ドコモ傘下入り後の経営方針や商品設計と、V NEOBANKの改定を完全に切り離して考えることはできません。
dポイントは拡充、Vポイントは縮小
今回の改悪が注目される最大の理由は、「ドコモの銀行」でdポイント特典の拡充が進むのとほぼ同時に、V NEOBANKのVポイント特典が縮小されることです。
ドコモ・フィナンシャルグループは2026年7月9日、「ドコモの銀行」とdアカウントを連携し、銀行取引に応じてdポイントが貯まる新制度を発表しました。
さらに、ドコモの銀行をdカードの引き落とし口座に設定し、所定のスマホ決済を利用すると、基本還元を含め初年度最大3.0%還元。マネックス証券との自動入金や積立条件も満たすと、合計で初年度最大4.5%還元になると案内しています。
最大還元率には対象決済、利用額、ポイント上限などの条件がありますが、ドコモグループが銀行口座、dカード、d払い、dポイント、マネックス証券を組み合わせた経済圏を構築しようとしていることは明らかです。
その一方で、Vポイント支店では次の特典が削られます。
- 10万円の預金でもらえる月50ポイントを廃止
- 他行からの振込ポイントを半減
- デビットカードの還元率を1.5%から1.25%へ引き下げ
- 他社決済サービスへのチャージをポイント対象外に
- 公共料金、税金、鉄道、病院などもポイント対象外に
外形的に見れば、ポイント施策の軸足が、Vポイント単独で貯める利用方法から、dカードやd払い、マネックス証券などドコモグループ内のサービスを組み合わせる利用方法へ移りつつあるように見えます。
1.25%への変更は銀行本体との「標準化」か
V NEOBANKデビットの新しい還元率である1.25%は、銀行本体の対象支店で提供されている「デビットカード Point+」やプラチナデビットカードの基本還元率と同じです。
この点だけを見ると、V NEOBANKだけに設けられていた1.5%還元を終了し、銀行本体の標準的な還元率へ揃える狙いがあるとも考えられます。
ただし、条件が完全に統一されるわけではありません。
銀行本体のデビットカードでは、鉄道、公共料金、税金、病院などの一部利用先について0.3%還元と案内されています。一方、改定後のV NEOBANKでは、同じ種類の取引がポイント付与対象外、つまり0%になります。
少なくとも公表条件を比較する限り、一部の支払いではV NEOBANKのほうが銀行本体のデビットカードより厳しい条件になります。
これまでどのようにお得に使われていたのか
10万円を月末から翌月5日まで置く
これまでは、月末の円普通預金残高が10万円以上で、翌月1日から5日まで毎日10万円以上を維持すると、月50ポイントが付与されました。
年間では最大600ポイントです。ポイント分だけを単純計算すると、10万円に対して年0.6%相当となるため、預金金利とは別の上乗せ特典として利用されていました。
この特典は2026年11月末の残高判定から廃止されます。
他行の無料振込枠で月500ポイント
他行から1回1万円以上の振込を受けると、1件につき20ポイント、月25件まで最大500ポイントを獲得できました。
他行側の無料振込枠や自動振込を利用し、自己名義のV NEOBANK口座へ1万円以上の振込を複数回設定することで、年間最大6,000ポイントを獲得する使い方が可能でした。
改定後は1件10ポイント、月最大250ポイントとなり、年間上限も3,000ポイントへ半減します。
デビットカードをチャージルートの起点にする
V NEOBANKデビットは、月間1,000円以上の利用で1.5%のVポイントが貯まる年会費無料のデビットカードでした。
通常の買い物だけでなく、ANA Pay、au PAY、Suicaなどの決済サービスや電子マネーへのチャージでもポイントを獲得できたため、チャージ後の決済で得られるポイントやマイルと組み合わせる使い方が注目されていました。
改定後は、電子マネー、コード決済、交通系IC、自治体PAYなどを含む他社決済サービスへのチャージがポイント対象外になります。
鉄道、公共料金、NTT東日本・西日本の料金、税金、国民年金、国民健康保険料、病院、診療所、寄付なども対象外です。
年間でどのくらいポイントが減る?
「普通預金10万円」「他行からの振込を月25件」「通常のデビット決済を月10万円」というケースで比較すると、次のようになります。
| 対象 | 変更前 | 変更後 |
|---|---|---|
| 円普通預金 | 月50ポイント | 0ポイント |
| 被振込25件 | 月500ポイント | 月250ポイント |
| デビット10万円 | 月1,500ポイント | 月1,250ポイント |
| 合計 | 月2,050ポイント | 月1,500ポイント |
このケースでは毎月550ポイント、年間では6,600ポイントの減少です。
デビット利用額10万円がすべてチャージや公共料金などの対象外取引だった場合、デビット分は1,500ポイントからゼロになります。その場合、被振込と預金特典を含めた減少幅は年間21,600ポイントに達します。
まとめ:単なるポイント改定ではなく、経済圏再編の中で起きた改悪
今回のV NEOBANK改定は、単にデビット還元率が0.25ポイント下がるだけの話ではありません。
住信SBIネット銀行がドコモ傘下へ入り、「ドコモSMTBネット銀行」「ドコモの銀行」としてdポイント、dカード、d払い、マネックス証券との連携を強める時期に、Vポイント支店の主要特典が一斉に削られます。
両者の直接的な因果関係は公表されていませんが、Vポイントユーザーから見れば、ドコモ経済圏の特典が拡充される一方で、自分たちが利用してきた預金、振込、チャージの特典が縮小される構図です。
V NEOBANKをポイント獲得目的で利用している場合は、預金の置き場所、他行からの振込設定、公共料金の支払い方法、電子マネーへのチャージルートを11月までに見直す必要があります。

