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乗った分だけ払う、月額上限付きの新定期「ふらピッと」 熊本のバス・市電などで2027年4月開始へ

ふらピッと

熊本のバス・熊本電鉄・市電を共通で利用できる新しい定期サービス「ふらピッと」が、2027年4月1日から提供開始予定です。交通事業者と三井住友カード、JCBが2026年10月28日に発表しました。

最大の特徴は、定期代を先に払うのではなく、乗った分だけ支払い、対象運賃の合計が月額上限に達したら、それ以上の対象運賃は請求されなくなること。乗る回数が少ない月は支払いも少なくなり、まったく乗らない月の運賃は0円です。

さらに、対象となるバス・熊本電鉄・市電の利用をまとめて計算。手持ちのタッチ決済対応カードやスマートフォンを登録して使えるため、日々の交通費の払い方が大きく変わるサービスになりそうです。

何が凄い?「定期を買って元が取れるか」という悩みを減らせる

従来の前払い式の定期券は、期間中にたくさん乗ればお得でも、在宅勤務や休暇、体調不良などで利用が減っても、購入した定期代が自動的に安くなるわけではありません。

ふらピッとは、定期券のような上限のある料金と、都度払いの「使った分だけ」という仕組みを組み合わせています。利用の都度、運賃が請求され、上限に達した後は対象分の請求が止まります。

あらかじめ定期代全額を払って、後から未利用分の払い戻しを申請する方式ではありません。毎月の利用回数が読みにくい人ほど、この違いは大きいでしょう。

小児向けなら、月2,000円分の利用は2,000円、5,000円分でも3,000円

例えば、小児向けには月額上限3,000円の全線フリー商品が予定されています。対象路線での小児運賃だけを、登録した同じカードや端末で支払う場合、仕組みは次のようになります。

その月の対象運賃の合計
(上限がなかった場合)
実際に支払う運賃
利用なし0円
2,000円2,000円
5,000円3,000円

これは小児向け商品の例です。大人や学生の上限が一律3,000円になるわけではなく、券種や登録する運賃額によって上限は変わります。

バス・熊本電鉄・市電をまたいで、交通費を合算できる

対象となるのは、電車では熊本市電と熊本電鉄、バスでは九州産交バス・産交バス・熊本電鉄・熊本バス・熊本都市バスです。一部の高速バスやコミュニティバスなど、対象外の路線があります。

大人・通学向けは、特定の区間ではなく、普段利用する区間の「運賃額」を登録する金額式です。登録した運賃額の範囲内で、対象路線であれば、別の区間や別の交通事業者の利用も上限計算に含まれます。

例えば、平日はバスで通勤し、休日は市電で買い物に行く場合。それぞれが登録条件の範囲内なら、通勤も休日の移動も、共通の月額上限に向けて積み上げられます。上限到達後は、対象範囲の移動に追加の運賃がかからなくなります。

熊本には従来から事業者をまたいで使える共通定期もあります。今回の大きな変化は、共通利用に加えて、バス・電鉄・市電の対象運賃を合算し、実際の利用に応じて月額上限まで支払う方式になる点です。

登録した運賃を超える場合は、差額を別途支払う

例えば、片道250円の運賃を登録し、300円の区間に乗った場合は、250円分が上限計算に入り、差額の50円は別途、自動的に決済されます。

月額上限に達した後も、この差額は必要です。上限に達すれば、熊本のどの路線・どの距離でも完全に無料になる、というサービスではありません。

小児は月3,000円、70歳以上は月7,200円の上限を予定

発表されている券種と月額上限は以下の通りです。金額はいずれも税込みで、各商品には上限計算の対象外となる路線があります。

区分サービス内容・月額上限
大人・通学登録した運賃額を基準とする金額式。運賃額に応じた月額上限を設定
小児月額上限3,000円の全線フリー
70歳以上の高齢者月額上限7,200円の全線フリー
障がい者月額上限5,040円の全線フリー

大人・通学向けの具体的な上限額の一覧は、今回の発表時点では公表されていません。現行の定期券価格を基本としますが、現在使っている定期券の種類や利用条件によって、負担額が増える場合も減る場合もあります。

したがって、「今の定期券より全員が安くなる」とは限りません。詳細な料金が公開されたら、普段乗る区間の運賃、月の利用回数、利用する交通機関を合わせて比較する必要があります。

通学証明書の提出もオンラインに。カードやスマホが定期券代わりになる

利用には「Pass Caseエントリー」への事前登録が必要です。Webで手続きできますが、対応ブランドや申込内容によって窓口での登録が必要になる場合もあります。対象ブランドのカードを持っているだけで、自動的に月額上限が適用されるわけではありません。

  1. 利用するタッチ決済対応カードを登録する。
  2. 実際に乗車時に使う媒体として、カード本体かスマートフォンなどを選ぶ。
  3. 券種を選択し、必要に応じて通学証明書や障がい者手帳などの画像を提出する。
  4. 登録完了後、登録したカードや端末を専用の読取機にタッチして乗車する。

バス・熊本電鉄では乗車時と降車時、熊本市電では降車時にタッチします。登録したカードや端末に利用をそろえることが必要で、カード本体とスマホを自由に使い分けても自動的に合算されるとは考えないようにしましょう。

対応ブランドは、Visa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club、Discover、銀聯。クレジットカードだけでなく、対応するデビットカードやプリペイドカードも利用できます。

ただし、スマートフォンやウェアラブル端末では利用できないブランドもあります。カード本体で使えることと、スマホでも使えることは分けて確認する必要があります。

子どもや高齢者など、クレジットカードを持たない人にもプリペイドカードという選択肢があります。プリペイドカードで利用する場合は、必要な残高を事前にチャージしておく必要があります。

原則として自動継続にも対応します。ただし、学生向けなど有効期限がある券種では更新手続きが必要になる場合があります。また、オンラインでの登録が難しい人向けには、窓口での受付も予定されています。

集計は毎月1日から月末まで。月途中の登録には注意

上限を計算する期間は、毎月1日から月末までです。使い始めた日から30日間、という仕組みではありません。

月途中でも登録できますが、上限計算に入るのは登録日以降の乗車です。登録前に同じカードで乗った分まで、さかのぼって合算されるわけではありません。

また、選んだ券種・登録運賃額に応じて上限が適用されるため、すべての定期券や割引商品から自動的に最安の組み合わせを選んでくれるサービスとも異なります。利用開始前に、自分に合う券種と運賃額を確認しておきましょう。

2027年4月開始予定。バス・電鉄の従来のIC定期は段階的に移行

今後の主なスケジュールは以下の通りです。いずれも予定です。

  • 2027年1月頃:地域・企業・学校向けの説明や、タッチ決済体験会などを実施。
  • 2027年3月下旬:Webと窓口で事前登録の受付を開始。
  • 2027年4月1日:ふらピッとの提供開始。当面は現行の定期券と並行して運用。
  • 2027年10月1日:バス・熊本電鉄電車の現行「くまモンのICカード」定期券の利用を停止。

利用停止の対象として発表されているのは、バス・電鉄電車の「くまモンのICカード」に載せた定期券です。くまモンのICカードそのものの全サービスや、市電の定期券まで一斉に終了するという発表ではありません。

タッチ決済が「運賃を払う手段」から「日常の定期サービス」へ

ふらピッとは、三井住友カードの交通向け決済基盤「stera transit」に新たに追加する定期相当サービスの第1弾です。クレジットカードなどのタッチ決済による定期相当サービスとして国内初とされています(三井住友カード調べ、2026年10月時点)。

利用者にとって大きいのは、普段のカードで乗れることに加え、出社が少ない月は支払いを抑え、よく乗る月は上限を使い、休日の別路線の移動も対象にできることです。通勤・通学以外の移動まで含めて、公共交通を使いやすくする仕組みといえます。

三井住友カードは、こうした定期相当サービスを各地域・交通事業者に合わせた形で全国に展開する方針です。熊本での導入は、タッチ決済を日々の通勤・通学にも広げる取り組みとして注目されます。

現金いらず.com 運営チーム
著者:現金いらず制作チーム
2014年から9年以上の間、日々キャッシュレスの情報を集め、店舗やサービスで試しては情報を共有し続けている現金いらず(旧 現金いらず.com)運営チームです。Xアカウント:@nogenkin(フォロワー2.5万人)、動画で理解したい方はYouTubeでも日々情報を共有しています。