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関電が「かんでんPay」開始 はぴeポイントの出口を街に広げた

かんでんPay

関西電力とアプラスは3月12日、キャッシュレス決済サービス「かんでんPay」の提供を始めた。関西電力の「はぴeみる電」アプリを使う利用者向けのサービスで、電気・ガス料金の支払いなどでためた「はぴeポイント」や、セブン銀行ATM、銀行振込、ことら送金、後払いチャージなどで残高を入れ、全国のQUICPay+加盟店やVisaのタッチ決済対応加盟店、ネット決済で使える。通常時の還元率は0.5%で、リリースキャンペーンでは1%に引き上げられる。

このニュースを、単に「また新しいPayが増えた」と受け取ると本質を見落とす。今回のポイントは、関電が新しい決済ブランドを作ったことよりも、これまで主に電気・ガス料金の支払いやポイント交換で使われてきた「はぴeポイント」に、街中で使える新しい出口を作ったことにある。

これは“ポイントの出口改革”

公共料金まわりのポイントは、ためる導線はあっても、使う瞬間が月に一度の請求画面に閉じこもりやすい。関電の「はぴeポイント」も、これまでは電気・ガス料金への充当、他社ポイントやマイルへの交換、アイテム交換などが主な使い道だった。そこに今回、日常の買い物で使える「かんでんPay」が加わった。これは、ポイントを“請求書の中で消える割引”から、“普段の支払いに回せる残高”へ変える一手だ。

しかも「かんでんPay」は、アプラスの金融プラットフォーム「BANKIT」を活用して提供される。つまり、関電がゼロから決済網を立ち上げたというより、既存の金融インフラを使い、会員基盤とはぴeポイントに決済機能を接続した形だ。派手な独自経済圏づくりというより、実用性を優先した現実的な参入と言っていい。

実はこの方向性は唐突でもない。関西電力は2016年の中期経営計画で、「はぴeみる電」を「暮らしのプラットフォーム」として機能充実していく方針を打ち出していた。料金確認だけの場所だった会員サービスを、ポイント、生活支援、そして今回の決済へと広げてきたと見ると、「かんでんPay」は新規事業というより、長く温めてきた構想の延長線上にある。

そもそも、はぴeポイントとは何か

はぴeポイントは、関西電力の会員サービス「はぴeみる電」でたまるポイントだ。電気・ガスの利用や、各種コンテンツの利用でためることができ、使うには「はぴeポイントクラブ」への加入が必要になる。登録費や年会費はかからず、有効期限はポイント加算から3年間だ。

特徴は、公共料金の利用者向けポイントとしては使い道が思った以上に広いことだ。電気・ガス料金の支払いには1ポイント=1円で、100ポイントから充当できる。さらに、キッチン用品、グルメ、カタログギフトなど500種類以上のアイテム交換、電子クーポン、地域・社会の支援、他社ポイントやマイルへの交換にも対応している。交換先には、PayPayポイント、楽天ポイント、Vポイント、dポイント、Pontaポイント、ANAマイレージクラブ、JALマイレージバンクなどが並ぶ。

グループ内の「かんでん暮らしモール」でも、条件を満たせば1ポイントから使える。つまり、はぴeポイントはもともと「電気代の値引き専用ポイント」ではなく、関電の会員サービス全体を横断する“生活系ポイント”として育てられてきたわけだ。

どんなふうに使えるのか かんでんPayで広がる使い道

新しく始まった「かんでんPay」では、ためたはぴeポイントをそのまま決済残高にチャージできる。加えて、セブン銀行ATMチャージ、銀行振込、ことら送金、後払いチャージにも対応する。銀行振込、ことら送金、後払いチャージ、および出金・送金系の機能には本人確認が必要だ。クレカチャージは未対応となっている。

使い方は、いわゆる“アプリの中のチャージ残高”に近い。中身は、インターネット専用のVisaプリペイドカードと、Apple PayまたはGoogle Payに載せて使う非接触決済の組み合わせだ。実店舗ではQUICPay+として、あるいは条件を満たせばVisaのタッチ決済として使え、オンラインではVisa加盟店で利用できる。

ここで注意したいのは、Visaのタッチ決済はApple Payのみでの利用となる点だ。Google PayではQUICPay+での利用が中心になる。つまり、「Visaタッチでどこでも使える新アプリ」とイメージすると少し違う。あくまでBANKIT系のプリペイド残高を、スマホ決済とオンライン決済に広げたサービスと理解したほうが正確だ。

もう一つ重要なのは、はぴeポイントでチャージした残高は出金できないということだ。これはポイントを現金化する仕組みではなく、「ためたポイントを使いやすくする仕組み」であることを意味する。逆に言えば、ポイントを放置しがちな人ほど相性がいい。

どんな人におすすめか

いちばん向いているのは、関電の電気やガスを使っていて、はぴeポイントが少しずつたまっているのに、毎回の交換が面倒で寝かせている人だ。 これまでは「電気代に回すほどでもない」「交換先を選ぶのが面倒」と感じていたポイントを、コンビニやドラッグストア、ネット決済に回しやすくなる。少額ポイントの“出口”としてはかなり実用的だ。

次に相性がいいのは、使いすぎを避けたい人だ。 かんでんPayはチャージ式が基本なので、クレジットカードより家計管理しやすい。年会費もかからず、13歳以上で利用できるため、家庭内でのサブ決済として考える余地もある。

一方で、すでに高還元のクレジットカードやQR決済をメインにしている人にとっては、主役になりにくい。 通常還元率は0.5%で、キャンペーン中でも1%。還元率だけで見れば、市場全体で突出して強いわけではない。さらに、新規登録は「はぴeみる電」アプリの利用が前提となるため、誰でもすぐに入れるオープンなPayというより、関電会員向け色の濃いサービスだ。

関電が本当に欲しいのは、決済手数料より“接点”かもしれない

今回の「かんでんPay」は、PayPayや楽天ペイのような全国区の主役を取りに行く勝負というより、関電の会員サービスを“月に一度ひらくアプリ”から“日々使うアプリ”へ寄せる動きとして読むとしっくりくる。料金確認、ポイント、暮らしのサービスに、毎日の支払いがつながれば、会員との接点は一気に増えるからだ。

そう考えると、このニュースの価値は「新しいPayが出た」ことそのものではない。関電が、電気・ガスという固定費の世界でためたポイントを、日常の消費へ流し込む回路を作ったことにある。はぴeポイントを持て余していた人にとっては、ようやく“使う理由”がはっきりした。逆に言えば、かんでんPayの成否は、どれだけ多くの人がメイン決済を乗り換えるかではなく、眠っていたはぴeポイントがどれだけ動き出すかで決まりそうだ。

現金いらず.com 運営チーム
著者:現金いらず制作チーム
2014年から9年以上の間、日々キャッシュレスの情報を集め、店舗やサービスで試しては情報を共有し続けている現金いらず(旧 現金いらず.com)運営チームです。Xアカウント:@nogenkin(フォロワー2.5万人)、動画で理解したい方はYouTubeでも日々情報を共有しています。