
韓国発の外貨交換・決済アプリ「Travel Wallet(トラベルウォレット)」が、日本市場で本格展開を始めた。株式会社トラベルウォレットJAPANは、スマートフォンアプリとプリペイドカード「Travel Payカード」を組み合わせた日本版サービスを2026年4月27日から正式提供している。
最大の特徴は、外貨両替、Visa加盟店での決済、韓国の地下鉄・市内バスで使える交通系IC機能を1枚のカードにまとめた点だ。韓国旅行では、現地でのカード決済に加えて、地下鉄やバス用に交通カードを用意するケースが多い。Travel Walletは、この「買い物用カード」と「移動用カード」を分けて管理する手間を減らすサービスとして打ち出されている。
46通貨に対応、韓国ウォン以外の旅行にも利用可能
Travel Walletでは、日本円から韓国ウォン、米ドル、ユーロ、タイバーツなど世界46通貨への交換に対応する。アプリ上で外貨建てのプリペイド残高に交換し、Travel Payカードで現地通貨決済を行う仕組みだ。
同社によると、韓国ウォンおよび基軸通貨の両替手数料は0%。その他の通貨については、通貨や取引条件、市場状況に応じて0.25%〜2.5%の両替手数料が適用される場合がある。海外決済手数料についても無料とうたっており、クレジットカードの海外事務手数料が気になる旅行者にとっては、比較対象になりそうだ。
ただし、Travel Walletは「現金への両替」やATMでの現金引き出しを主目的にしたサービスではない。韓国旅行中の屋台、市場、地方の小規模店舗など、現金が必要な場面がある場合は、別途現金の用意も考えておきたい。
韓国交通系ICとして使える点が最大の差別化ポイント
Travel Payカードは、韓国の地下鉄・バスでタッチ乗車できる韓国交通系IC機能を備える。公式サイトでは、韓国交通系カードを別途購入する必要がなく、Travel Payカード1枚で韓国の地下鉄・バスに乗車できると説明されている。
特にソウルや釜山など、地下鉄とバスを組み合わせて移動する旅行では、交通カードの購入、チャージ、残高管理が地味なストレスになる。Travel Walletは、こうした移動まわりの不便を決済アプリ側で吸収しようとしている点で、一般的な海外プリペイドカードとは狙いが異なる。
なお、日本国内の交通系ICとしては利用できないため、SuicaやPASMOの代替にはならない。韓国旅行向けの交通・決済カードとして考えるのが自然だ。
Revolutとの違いは?広さのRevolut、韓国特化のTravel Wallet
海外旅行向けの多通貨カードとしては、Revolutを思い浮かべる人も多いだろう。Revolutは150以上の通貨でのカード決済に対応し、アプリ上での両替、バーチャルカード、Apple PayやGoogle Payとの連携、ATM出金などを強みとしている。
一方で、Travel Walletは対応通貨数ではRevolutより少ないものの、韓国交通系IC機能をカードに組み込んでいる点が大きな違いだ。韓国旅行、とくに公共交通機関を多用する旅行者にとっては、単なる「海外決済カード」ではなく「交通カード一体型の旅行用ウォレット」として使える可能性がある。
| 比較項目 | Travel Wallet | Revolut |
|---|---|---|
| 主な用途 | 外貨交換、Visa決済、韓国交通系IC | 多通貨決済、両替、送金、ATM出金など |
| 対応通貨 | 46通貨 | カード決済は150以上の通貨に対応 |
| 韓国の地下鉄・バス | 韓国交通系ICとして利用可能 | 韓国交通系IC一体型サービスとしては案内されていない |
| ATM出金 | 現金化・現金両替用途には不向き | プランごとの無料枠あり。超過後は手数料が発生 |
| 向いている人 | 韓国旅行で交通と決済を1枚にまとめたい人 | 複数国を旅行し、幅広い通貨・ATM・バーチャルカードを使いたい人 |
どちらを選ぶべきか
韓国旅行がメインで、地下鉄やバスを頻繁に使うなら、Travel Walletの交通IC対応は分かりやすいメリットになる。特に初めて韓国に行く人や、現地で交通カードを買う手間を省きたい人には相性が良い。
一方、韓国だけでなく欧米、東南アジア、オセアニアなど複数地域を旅行する人、ATMで現金を引き出す機会が多い人、バーチャルカードやスマホ決済を重視する人は、Revolutのほうが使い勝手が良い場面もある。
注意したいのは、どちらも手数料体系や利用条件がプラン、通貨、曜日、利用国によって変わる点だ。Revolutでは、スタンダードプランの場合、月間の無料両替枠を超えると追加手数料が発生し、週末の為替取引にも手数料がかかる。Travel Walletも、無料対象外の通貨では両替手数料が発生する可能性がある。旅行前にアプリや公式サイトで最新条件を確認しておきたい。
訪韓旅行の回復が追い風に
日本から韓国への旅行需要は回復基調にある。2025年の日本人訪韓旅行者数は約365万人に達し、13年ぶりに過去最高を更新した。K-POP、韓国コスメ、グルメ、美容医療、地方観光など、訪韓目的が多様化するなかで、決済と交通をまとめるサービスへのニーズも広がりそうだ。
Travel Walletは、累計900万枚を発行してきた韓国発サービスの日本版として登場した。海外決済カード市場ではRevolutやWiseなどの選択肢も存在するが、韓国交通系IC機能を前面に出した点は、韓国旅行者向けサービスとして独自性がある。今後は、チャージ手段の拡充や提携サービスの広がりによって、日本の旅行者にどこまで定着するかが注目される。
まとめ
Travel Walletは、単に外貨を安く両替するためのアプリというより、韓国旅行中の「支払い」と「移動」をまとめるためのプリペイド型ウォレットだ。Revolutがグローバルに幅広く使える多通貨サービスだとすれば、Travel Walletは韓国旅行に寄せた実用性が強い。
韓国旅行で地下鉄やバスをよく使う人はTravel Wallet、複数国をまたいで幅広く使いたい人はRevolut。旅行スタイルに合わせて使い分けるのが、現時点では最も現実的な選び方になりそうだ。

