
三菱UFJニコスは2026年5月15日、外貨建てショッピング利用時に円換算するための事務処理手数料を引き上げると発表した。改定後の手数料は税抜4.09%。税込ではVisaとMastercardが4.50%、JCBが4.34%、アメリカン・エキスプレスが4.30%となる。
適用開始は、三菱UFJカード会員およびフランチャイジー各社発行カードが2026年11月16日利用分から、NICOSカード会員が2026年11月6日利用分から。ただし、実際の適用は加盟店からカード会社へ売上データが届くタイミングによって前後する場合がある。
海外でクレジットカードを使う人にとって、今回の改定は大きい。国内の主要クレジットカードでは、ここ数年で海外事務手数料の引き上げが相次いできたが、多くは税込3.63%または3.85%が上限に近い水準だった。三菱UFJニコスの新料率は、その一段上となる「4%台」に入る。
改定内容:Visa/Mastercardは税込4.50%へ
| 国際ブランド | 改定前 | 改定後 |
|---|---|---|
| Visa | 3.50%(税込3.85%) | 4.09%(税込4.50%) |
| Mastercard | 3.50%(税込3.85%) | 4.09%(税込4.50%) |
| JCB | 2.00%(税込2.04%) | 4.09%(税込4.34%) |
| American Express | 2.00%(税抜・税込同一) | 4.09%(税込4.30%) |
10万円を外貨建てで決済した場合、Visa/Mastercardでは事務処理手数料だけで約4,500円となる。3.85%のカードなら約3,850円、3.63%なら約3,630円、1.60%のカードなら約1,600円だ。海外旅行や海外通販でまとまった金額を使う人ほど、カード選びによる差は大きくなる。
「クレカの海外事務手数料4%台」は初めてのインパクト
今回のポイントは、単なる値上げではなく、主要クレジットカードの海外事務手数料が4%台に入ったことだ。
近年、楽天カードや三井住友カードは税込3.63%、エポスカード、セゾンカード、PayPayカード、dカードなどは税込3.85%へ引き上げている。つまり、国内主要カードの高めの水準はおおむね3%台後半だった。
その中で、三菱UFJニコスのVisa/Mastercardは税込4.50%、JCBとアメリカン・エキスプレスも税込4.30%台となる。すべての提携カードや特殊カードまで網羅して「国内初」と断定するのは慎重であるべきだが、少なくとも大手カード会社の一般的な海外ショッピング手数料としては、かなり異例の4%台入りといえる。
プリペイドカードより高い、または同水準に
今回の改定で気になるのは、クレジットカードでありながら、海外利用時の手数料が一部のプリペイドカードより高くなる点だ。
| カード・サービス | 海外利用時の主な手数料 | 比較 |
|---|---|---|
| 三菱UFJニコス Visa/Mastercard | 税込4.50% | 今回の改定後水準 |
| 三菱UFJニコス JCB | 税込4.34% | 4%台 |
| 三菱UFJニコス American Express | 税込4.30% | 4%台 |
| au PAY プリペイドカード | 4.00% | 三菱UFJニコスの改定後のほうが高い |
| dカード プリペイド | 3.63% | 三菱UFJニコスの改定後のほうが高い |
| JAL Pay | 取扱15通貨以外は4.00% | 三菱UFJニコスの改定後のほうが高い |
| Kyash Card | 4.50% | Visa/Mastercardは同水準 |
| Vプリカ | 4.50% | Visa/Mastercardは同水準 |
プリペイドカードは与信がないぶん、海外利用時の手数料が高めに設定されることがある。それでも、今回の三菱UFJニコスの新料率は、au PAYプリペイドカードやdカード プリペイドを上回り、Kyash CardやVプリカと同水準になる。海外決済コストだけを見れば、「クレジットカードだからプリペイドより有利」とは言いにくくなってきた。
どれを選ぶのがおすすめか
結論からいえば、海外で使うカードは「手数料の低さ」「使える場所の多さ」「補償・保険」「デポジット対応」の4点で選びたい。
1. 手数料重視なら、低料率のクレカまたはデビット系を検討
海外事務手数料を抑えたいなら、まずは1.60%前後のカードが候補になる。たとえばJCBグループ発行カードでは、海外利用時に基準レートへ1.60%を加えた換算レートが適用される。イオンカードも海外ショッピング利用時の手数料は1.60%としている。
ただし、JCBはハワイ、台湾、韓国などでは使いやすい一方、欧米や一部地域ではVisa/Mastercardより加盟店網が弱いことがある。JCBをメインにする場合でも、VisaまたはMastercardをサブで持つのが現実的だ。
2. Wise、Revolut、Sony Bank WALLETは海外決済の有力候補
海外通販や旅行中の通常決済では、Wiseデビットカード、Revolut、Sony Bank WALLETのようなデビット・送金系サービスも候補になる。
- Wise:同じ通貨の残高から支払う場合はカード決済手数料が無料。通貨を両替する場合は通貨ごとの両替手数料がかかる。
- Revolut:海外事務手数料0%をうたうが、無料プランでは月間無料枠、週末手数料、チャージ方法による手数料に注意が必要。
- Sony Bank WALLET:対象10通貨の外貨口座に残高があれば、海外ショッピング時の事務処理経費なしで外貨残高から支払える。対象外通貨や外貨口座未開設時は1.79%の事務処理経費がかかる。
ただし、これらはクレジットカードではない。ホテルやレンタカーのデポジット、航空券購入時の補償、旅行保険の利用条件などでは、クレジットカードのほうが使いやすい場面もある。
3. 三菱UFJニコスのカードは「海外メイン決済」からは外しやすく・・・
今回の改定後、三菱UFJニコスのカードを海外でメイン決済にするメリットは、手数料面では薄くなる。国内利用、特典、ポイント、保険、カードランクのメリットがある人は引き続き保有する価値があるが、海外旅行や海外通販で大きな金額を使う場合は、別の低コスト決済手段を用意したほうがよい。
特に、外貨建てで航空券、ホテル、海外EC、サブスクリプションを支払う人は、毎回の手数料差が積み上がる。年に数十万円以上の海外利用があるなら、カードの見直し効果は大きい。
選び方のポイント
- 国際ブランドだけでなく発行会社を見る
VisaやMastercardだから一律ではない。手数料はカード会社ごとに違う。 - ポイント還元率を差し引いた実質コストで見る
たとえば手数料4.50%で還元率0.5%なら、実質負担は約4.0%。それでも低料率カードとの差は大きい。 - 現地では必ず「現地通貨建て」で払う
海外店舗やATMで「日本円で払うか」と聞かれた場合、日本円建て決済は独自の高い為替レートが使われることがある。原則として現地通貨建てを選びたい。 - ホテル・レンタカー用にクレカは1枚残す
デビットカードやプリペイドカードは、デポジットや本人確認で使いにくい場合がある。 - 旅行保険の条件を確認する
海外旅行保険が利用付帯の場合、旅行代金をそのカードで支払う必要がある。手数料だけでなく、保険の発動条件も確認しておきたい。
まとめ:海外利用者はカードの持ち替えを検討する時期
三菱UFJニコスの海外事務手数料引き上げは、クレジットカードの海外利用コストが新たな段階に入ったことを示している。税込4.50%という水準は、もはや一部プリペイドカードより高く、プリペイドカード上位の手数料とも同等だ。
海外利用が少ない人にとっては大きな影響がないかもしれない。しかし、海外旅行、海外通販、外貨建てサブスク、留学、出張などで継続的に外貨決済をする人は、手数料の低いクレジットカード、WiseやRevolut、Sony Bank WALLETなどを組み合わせることで、年間の決済コストを抑えられる。


