
ANAは2026年9月、2028年4月から導入する「ANAスーパーフライヤーズカード(SFC)」の新制度について、一部見直しを発表しました。
2026年4月の発表では、ANAカード・ANA Payの年間決済額が300万円未満の「SFC LITE」会員は、ANAラウンジを利用できなくなる予定でした。今回、この方針を修正し、国内線では混雑時を除いて利用可能、国際線では羽田・成田・ホノルルのANAラウンジを利用可能とします。
会員からの不満に対応した見直しですが、年間300万円を境にサービスを分ける仕組みは維持されます。SFC LITEのスターアライアンス資格をゴールドからシルバーに変更する方針も撤回されておらず、従来の制度に完全に戻るわけではありません。
会員の声を受け、「300万円未満はラウンジ利用不可」を修正
SFCは、ANAのプラチナサービス・ダイヤモンドサービスのステイタス獲得など、所定の条件を満たした人が申し込めるクレジットカードです。会員には、ANAラウンジや優先搭乗などの特典が用意されています。
2026年4月に発表された改定では、ANAカード・ANA Payの年間決済額によって、会員を以下の2区分に分けることになりました。
- SFC PLUS:年間決済額300万円以上。ラウンジ利用やスターアライアンス・ゴールド資格などを維持し、SFCマイル特典として5,000マイルを進呈。
- SFC LITE:年間決済額300万円未満。ラウンジ利用を対象外とし、スターアライアンス資格はシルバーへ変更。
これまでの特典を維持するために新たな決済条件を求める内容で、特にラウンジ利用ができなくなる点が大きな問題となっていました。
ANAも今回、ラウンジ利用に関する会員の声が多かったことと、実現可能な改善策を検討した結果、利用条件を変更したと説明しています。一方、ラウンジの混雑を懸念する声もあるため、全面的に利用制限をなくすのではなく、混雑状況に応じた運用を取り入れます。
SFC LITEはどう変わる? 当初の改定との比較
年間決済額300万円未満のSFC LITEについて、現行制度、4月の改定案、今回の見直しを比較すると、以下のようになります。
| 項目 | 現行制度 2028年3月31日まで | 2026年4月の改定案 | 2026年9月の見直し |
|---|---|---|---|
| 国内線ANAラウンジ | 所定の搭乗条件で利用可能 | 利用不可 | 混雑時を除いて利用可能。事前予約の仕組みを導入 |
| 国際線ANAラウンジ | 所定の搭乗条件で利用可能 | 利用不可 | ANAグループ運航便への搭乗時に、羽田・成田・ホノルルのANAラウンジを利用可能 |
| スターアライアンス資格 | ゴールド | シルバー | シルバー。変更方針は維持 |
| ANAグループ運航便での優先チェックイン・優先搭乗など | 利用可能 | 継続 | 継続 |
今回改善されたのは、主にANAラウンジの利用条件です。スターアライアンス・ゴールド資格まで維持できるようになったわけではありません。
国内線ラウンジは混雑時に制限。事前予約は必須ではない
SFC LITE会員も、国内線のANAラウンジや対象の共用ラウンジを利用できるようにします。ただし、年末年始・ゴールデンウィークなどの大型連休や、出発便が集中する期間・時間帯には利用できない場合があります。
また、SFC LITE会員向けに、国内線ラウンジの事前予約制度を導入します。予約枠には限りがあり、詳しい仕組みは2027年度中に案内する予定です。
事前予約がないと必ず入れない、という制度ではありません。予約を持っていない場合も、搭乗日当日にラウンジ受付で利用できるか確認できます。ただし、混雑時には利用を断られる可能性があります。
事前予約を利用できるのは、ANAグループ運航便かつANA便名の便を予約している場合です。また、以下のラウンジは事前予約の対象外となります。
- 成田空港のANA ARRIVAL LOUNGE(国内線出発ラウンジ)
- 名古屋(中部)・関西・熊本・宮崎の国内線共用ラウンジ
これらは「事前予約の対象外」であり、ラウンジ自体を一律に利用できなくするという意味ではありません。
なお、SFC PLUS会員には、今回導入する事前予約は必要ありません。
国際線は羽田・成田・ホノルルが対象。他社のラウンジ特典は戻らない
SFC LITE会員は、ANAグループ運航便に搭乗する際、羽田・成田・ホノルルのANAラウンジを利用できます。
例えば、ANA便で羽田から海外へ出発する人にとっては、年間300万円の決済を達成していなくても、対象のANAラウンジを利用できる内容になりました。
ただし、海外の空港やスターアライアンス加盟航空会社のラウンジを、従来どおり幅広く利用できるわけではありません。SFC LITEの資格はスターアライアンス・シルバーとなるため、他社便を利用する際のラウンジ、優先チェックイン、優先搭乗、手荷物の優先受け取りなどは原則として対象外です。
ANA便を中心に利用する人と、海外でスターアライアンス他社便もよく利用する人では、今回の見直しの評価が大きく変わります。後者にとっては、ゴールド資格を失う影響が依然として残ります。
年間300万円の条件は維持。航空券以外の支払いも対象
SFC PLUSとSFC LITEを分ける年間300万円の決済条件は変更されません。年間300万円は、月平均にすると25万円です。
判定対象は航空券の購入だけではなく、ANAカード・ANA Payによる公共料金、スーパー、飲食店、日用品などの対象決済も含みます。家族カードの利用分は本会員に合算され、家族カードのサービス区分も本会員と同じになります。
ただし、ANAカードからANA Payへのチャージ金額は判定対象外です。チャージと、その残高を使ったANA Payの支払いを二重に数えられるわけではありません。年会費や各種手数料、キャッシングなども対象外となります。
年間300万円に届かなくてもSFCを退会させられるわけではなく、翌年度にSFC LITEのサービスが適用されます。区分の判定は毎年行われるため、一度300万円を達成すれば、その後ずっとSFC PLUSになる仕組みでもありません。
例外として、SFC会員で100万ANAライフタイムマイルに到達している人は、決済額にかかわらずSFC PLUSとなります。ただし、5,000マイルのSFCマイル特典を受け取るには、年間300万円以上の決済が必要です。
また、ANAカードプレミアムの本会員は、SFCの区分とは別に、カード独自の特典で国内線ANAラウンジを利用できます。この特典は本会員本人が対象であり、家族会員や同行者まで同じ条件で入室できるものではありません。
当初の改定を受けて退会した人には、再入会の特例
今回の見直しでは、4月の制度改定発表を受けてSFCを退会した人に対して、特例で再入会の手続きを受け付けます。
対象となるのは、以下の両方の条件を満たす人です。
- 2026年4月23日〜2026年9月29日の間にSFCを退会・解約していること
- 退会理由が、2026年4月に発表されたSFC制度改定によるものであること
専用Webフォームの送信期限は、2027年3月31日です。ANA公式ページ内の再入会申請フォームから申し込みます。
ただし、無条件に元のカードが復活するわけではありません。提携カード会社による審査があり、再入会時には年会費も発生します。クレジットカード番号とANAマイレージクラブのお客様番号は、新しく発行されます。
申込書の送付には1〜2カ月程度かかる場合もあるため、再入会を希望する人は、余裕を持って手続きを進めたほうがよいでしょう。
新制度は2028年4月1日開始。今すぐラウンジ条件が変わるわけではない
今回の見直しは、2028年4月から導入する制度の内容を修正したものです。今すぐSFCのラウンジ利用条件が変わるという話ではありません。
- 2026年12月16日〜2027年12月15日:最初の決済額判定期間
- 2027年度中:国内線ラウンジの事前予約制度について詳細を案内予定
- 2028年4月1日:SFC PLUS・SFC LITEによる新サービスを開始
判定期間は1月〜12月の暦年ではありません。年末の利用については、決済データが所定の期間に到着するかによって対象になる年度が変わる場合もあるため、300万円ぎりぎりを目指す人は注意が必要です。
SFCへの申込条件自体は変更されず、ANAのプラチナサービス・ダイヤモンドサービスのステイタス獲得、またはANAグループ運航便で100万ライフタイムマイルに到達することが条件となります。
当初案より改善。ただし、現行制度より制限が増える点は変わらない
年間300万円未満の会員を、ANAラウンジから一律に締め出す方針を修正した点は、当初の改定案より明確な改善です。会員の声を受けて条件を緩和し、退会者向けの再入会特例も設けたことは評価できます。
一方、混雑しやすい年末年始や大型連休は、旅行や帰省でラウンジを使いたい人も多い時期です。まさに使いたい日に利用できない可能性があることや、予約枠が限られる点は、今までとの違いとして残ります。
さらに、スターアライアンス・ゴールド資格を維持するための年間300万円条件も残ります。「SFC改定が撤回された」ではなく、「ラウンジ利用不可という厳しい変更を、条件付き利用へ緩和した」と捉えるのが正確です。
ANA便中心で、混雑しにくい時期にラウンジを使う人には救済となる一方、繁忙期の利用や海外での他社便利用を重視する人には、なお特典縮小の影響が大きい見直しといえます。

