政府主導の影響もあって、とどまることのないキャッシュレス化の波。
急速に環境整備が進む中、近年はメガバンクから地方銀行に至るまでこぞって導入している「デビットカード(ブランドデビット)」。
今回はそんなデビットカード(ブランドデビット)を使ったキャッシュレスの始め方をご紹介します。
※デビットカードには他に国際ブランドが付与していないJ-Debitがありますが、このページでは特に注釈がない限り、VisaやMastercardが付与されたブランドデビットのことを指します。
概要
そもそもデビットカード(ブランドデビット)ってなに?
デビットカードとは、クレジットカードの国際ブランド(Visa/Mastercard/JCB)の決済システムを使ってお支払いが可能でありながら、カード利用時に預金口座から利用金額だけ即座に引落しをするデビット式カードのことをいいます。
即時引き落としのため後払いもない上に電子マネーのようにチャージの必要もなく、口座残高以上の金額は使えないので気軽さと安心を備えたとても便利なカードです。
主な発行銀行は以下の通り。
カード名称あり
- SMBCデビット(三井住友銀行/三井住友カード)
- 三菱UFJ-デビット(三菱UFJ銀行/JCB)
- みずほJCBデビット(みずほ銀行/JCB)
- りそなデビットカード(りそな銀行・埼玉りそな銀行・関西みらい銀行)
- イオン銀行キャッシュ+デビット(イオン銀行)
- 楽天銀行デビットカード(楽天銀行)
- SonyBank WALLET(ソニー銀行)
- 地方銀行発行のJCBデビット(JCB)
カード名称なし
- スルガ銀行
- PayPay銀行
- GMOあおぞらネット銀行
- 住信SBIネット銀行
特殊カード
- au PAYプリペイドカード(KDDI/じぶん銀行)
デビットカードは申し込み時の条件として15歳または16歳以上からの制限はあるものの、発行金融機関の口座さえ持っていれば誰でも審査不要で申し込み・発行することができます。
カードにより窓口のみなど申し込み場所は異なりますが、オンラインで申し込みができる銀行がほとんど。
さらに、クレジットカード同様に上記の特殊カードを除くすべてのカードで不正利用・盗難・紛失時の補償サービスが標準で付帯されているのも大きな特徴です。
もちろん、カード利用時のポイント付与やキャッシュバック特典もあるので現金で払うよりもずっとお得になります。
※特殊カードについて
上記の特殊カードについては、プリペイドカードではあるものの「デビットチャージ」機能を設定することができます。
この機能はあらかじめ対象の銀行口座との連携と設定を行うことにより、カードそのものの残高が0円の状態でも銀行口座から利用金額分を即時振替することでデビットカード同等の機能として使うことができるものです。
デメリットとしては、元々がプリペイドカードであるため不正利用・盗難・紛失時の補償サービスがありません。
デビットカード(ブランドデビット)はどこで使えるの?
デビットカードはクレジットカードが使えるところであれば日本国内だけでなく、海外でも幅広く使うことができます。
電子マネーのように対応店鋪を気にする必要もなく、使える店舗もとても多いので便利。もちろんネットショッピングや各種予約サイトでも利用可能。
ただし、国内利用では以下のお店では利用することができません。
- 月額課金など、毎月継続的な課金をするお店(一部カードでは利用可能)→Google PlayやApp Storeはどのカードでも制限なし
- 一部のネットショッピング、各種予約サイト
- 公共料金の支払い(一部カードでは利用可能)
また、デビットカードでは海外利用でも大変役立つカードです。
以下の点には注意が必要ですが、カードショッピングだけでなく、PLUSやCirrusのマークがある海外ATMでも利用可能なので現地通貨も事前の両替いらずで引き出し可能。
- 利用時または明細確定時点での為替レートに応じた円換算額で残高引落し
- 円での引落し時には為替手数料も合わせて残高引落し(カードにより異なります)→外貨対応デビットの場合、外貨で支払う場合は手数料不要・レート変動なし
- ホテル利用時にデポジットとして宿泊代金とは別に一定額を引落し(チェックアウト時に返却されます)
- 海外ATMで現地通貨引き出しの場合、ATM手数料もかかる場合あり
実際の使い方~カード決済~
デビットカードはクレジットカードと使い方は全く同じです。
利用時に必ず「クレジットカード一回払い」と伝えてカードを渡し、伝票にサインをするかICカードの場合は暗証番号を入力すれば支払い完了。
スーパーやコンビニなど一部のお店では、サインや暗証番号の入力がないところもあります。
現金のやり取りがなく、カードをスキャンして伝票をもらうだけで支払いが完了するのでスピーディ。
ネットショッピングや各種予約サイトでは、支払い方法をクレジットカードにしてカード番号や有効期限などを入力すれば注文完了。
お店からの商品確保ができた段階で決済処理がかかるため日数がかかる場合があり、残高には注意が必要です。
なお、いかなる理由があってもカードのお客様控えとレシートが必ずないと返品・返金が受けられないので1週間は手元に残しておきましょう。
実際の使い方~電子マネー決済~
一部のデビットカードでは、iDやQUICPay+の電子マネーを搭載したカード、Google PayやApple Payに登録して利用できるカードがあります。
これらのカードでは、電子マネー加盟店での利用であればカードやスマートフォンをかざすだけで決済が完了するのでサインも暗証番号も不要。よりスピーディーに支払いをすることができます。
もちろん電子マネーでも利用時に口座から即時引き落としされます。
実際の使い方~NFC決済~
近年発行のデビットカードでは、Visa・Mastercard・JCBのコンタクトレス(タッチ)決済を搭載したカードがあります。
対応する加盟店では「クレジット」や「NFC Pay」などと伝えてカードをかざすだけで支払い完了。
原則1万円まではサインも暗証番号も不要なのでたいへん便利です。
また、Apple Pay対応のiPhoneをお持ちの方は対応のMastercard/JCBデビットを登録、おサイフケータイ対応のAndroidスマートフォンをお持ちの方はGoogle Pay(タッチ決済)対応のVisa/Mastercardデビットを登録することによりApple Pay、Google Payでもコンタクトレス(タッチ)決済を利用することができます。
また、カード登録時の本人確認や利用時の生体認証必須という性質を利用して、本来1万円までしか利用できないところをスマートフォンでタッチする場合は1万円以上でも利用できるようになるため、より安全・便利に使うことが出来るようになります。
※Google Payは利用の際、スリープ状態になっていると反応しませんので必ずロック解除するか画面をONにした状態でかざしてください。
デビットカード(ブランドデビット)って安心?不正利用のリスクは?
クレジットカードと同様、ショッピングサイトからの情報流出や何らかの理由でカード番号が知られ、不正利用の被害に遭うリスクは少なからず存在します。
しかしながら、ブランドデビットではこのような不正利用・盗難・紛失時の被害に遭った取引については補償サービスが標準でついているため、安心して利用することが出来ます。
また、自身でもできる対策が多数存在するため、以下を参考にして使ってみましょう。
メール通知サービスは必ず設定
すべてのデビットカードでカード利用時にメールで通知されるサービスが標準で付いていますが、カードによっては後から設定が必要な場合があります。
万が一の時にも気づきやすいので必ず設定しておきましょう。
利用限度額の設定
会員サイトにおいて、口座の残高とは別に1回・1日・1か月ごとの利用限度額を設定することができます。
特に高額な預金が入っている口座の場合、不正利用に遭った場合には一旦全額抜かれてしまう被害が出る場合があるため、自身の利便性を損なわない範囲の金額に設定するとおすすめです。
また、海外で利用しない方は海外利用時の利用限度額を0円に設定することで、国際的な不正利用の被害からも防止することができます。
本人認証サービスの設定
全てのカードにおいてインターネットショッピングでカードを利用する際にカード番号や有効期限などの他に追加で認証が必要なセキュリティ機能「本人認証サービス(3Dセキュア)」が標準で付いています。
現在ではSMSやアプリによるプッシュ通知で発行されるワンタイムパスワードを入力して認証を行うようになったため、より簡単・安全に利用できるようになっています。
なお、一部のカードでは初期設定(会員Webの登録)を行わないと本人認証サービスが有効にならないので必ず設定しておきましょう。
ライターおすすめのデビットカード
下記記事で具体的におすすめのデビットカードとその理由をご紹介しているので合わせてご参照ください。
ご紹介しているカードは以下の通り。
- 三井住友銀行(SMBCデビット)
- ソニー銀行(SonyBank WALLET)
- イオン銀行(イオン銀行キャッシュ+デビット)
- 地方銀行発行のJCBデビット
- VJA発行のVisaデビット
- 三菱UFJ銀行(三菱UFJ-JCBデビット)
おわりに
手軽に使えて安心機能も満載、手数料節約にもつながるデビットカード。
最近では若い層や主婦層の利用が地方で増え始めており、一般向けにも着実に浸透し始めている状況です。
これからますます進んでいくキャッシュレス時代のひとつの選択肢として使ってみてはいかがでしょうか?