クレジットカードとデビットカードは使えるお店は基本的に一緒ですが、別の種類のカードです。
仕組みや、セキュリティ、不正利用に対する強さなど全く違います。それぞれの特徴を見て、「クレジットカードとデビットカードではどちらが良いのか」というよく行われている(?)論争に筆者なりの結論を出したいと思います。
概要
クレジットカードとデビットカードの支払い日の違い
まずは支払日の違いから。
- クレジットカード・・・1ヶ月後に引き落とし
- デビットカード・・・支払った瞬間に引き落とし
クレジットカードの支払日はカードによって違いますが、例えば月末に確定したら翌月の末日に口座から引き落としがされるようなものが一般的です。つまり、支払いまでに1ヶ月ほどの猶予があるということ。
対して、デビットカードは使ったその瞬間に引き落としが実行されます。つまり、支払いまでに猶予はなく、現金払いと同じ感覚ということ。
クレジットカードとデビットカードの発行元の違い
クレジットカードとデビットカードでは発行元も違います。
- クレジットカード・・・VISA、MasterCard、JCBなどと提携した銀行や法人
- デビットカード・・・VISA、MasterCard、JCBなどと提携した銀行
クレジットカードもデビットカードも基本的にVISAやMasterCard、JCB、American Expressといった国際ブランドと提携している点では共通しています。
クレジットカードは国際ブランドが各種法人と提携して発行したり(JALとAmerican Expressが提携して発行しているJAL American Expressカードなど)、国際ブランドと提携した銀行が、さらに各種法人と提携して発行したり(VISAと提携した三井住友カードがANAと提携して発行しているANA VISAカードなど)といった具合に、発行元はどこ?という問いに対する答えが一言では説明できないほど複雑な仕組みになっていることが多々あります。
対して、デビットカードを発行しているのは銀行のみです。銀行口座から即座に引き落とされるというその特性上、銀行の独壇場だとも言えます。
デビットカードを発行している銀行の一例は以下の通り。
銀行名 | デビットカード名 | 年会費 |
---|---|---|
三菱UFJ銀行 | 三菱UFJ-VISAデビット | 無料(2020年7月から) |
三井住友銀行 | SMBC VISAデビット | 無料 |
PayPay銀行 | Visaデビット | 無料 |
楽天銀行 | 楽天銀行JCBデビットカード | 無料(ゴールドは有料) |
住信SBIネット銀行 | キャッシュカード(VISA) | 無料 |
日本の銀行は海外と比べてデビットカードの発行が遅く、2010年ごろはデビットカードを発行している銀行は殆どなかったのですが、今では多くの銀行がデビットカードを発行しています。
企業はデビットカードを発行できないの?
企業がデビットカードのようなすぐに利用額が引き落とされるカードを作ろうと思ったら、au PAYプリペイドカード(MasterCardが付いている)のようなチャージ式のプリペイドカードの形を取ります(一度チャージをしてそこから引き落とされる)。しかしこれらのチャージ式プリペイドカードはチャージの必要があるのでデビットカードとは呼ばれません。ブランドプリペイドカードなどと分類されます。
クレジットカードとデビットカードの審査の違い
- クレジットカード・・・審査あり
- デビットカード・・・審査なし
クレジトカードは、カードの種類によって、またそのランクによって審査の難易度は変わってきますが、年収やこれまでの支払履歴(クレヒス)などを見て審査が行われます。また条件として、作れるのは最低共18歳以上(高校生を除く)です。
デビットカードは、銀行の口座さえ作れれば審査は行われません。カードによっては銀行口座を開設した時点でキャッシュカードと一体化して付いてきます。銀行口座は基本的に15歳以上なら開設できるので、15歳以上で持てます(銀行によって微妙に差はあります)。
なので、クレジットカードの審査に通らないような方や未成年(高校生以下)の方がVISAやMasterCard、JCBなどが付いたお店でカード払いをしようと思ったら選択肢はデビットカードに絞られます。
もしも口座に残高がなければ支払いが不可だとすぐにわかる=クレジットカードのように「お金を貸している期間」がないため、悪くいえば、信用がなくても発行可能なのがデビットカードです。
クレジットカードとデビットカードのポイント制度の違い
- クレジットカード・・・基本的にポイント貯まる。
- デビットカード・・・基本的にポイント貯まらない(貯まるものもある)。
クレジットカードは消費者金融が発行しているようなごくごく一部のクレジットカードを覗いて、使った分だけポイントが貯まります。還元率が1%のクレジットカードだったら、100円で1ポイントが貯まって1ポイント=1円相当の景品と交換することが可能です。
一方で、8割以上のデビットカードでポイントは貯まりません、貯まったとしても、クレジットカードより還元率は低いです。
なのでポイントを貯めたければクレジットカードを使うのが基本になります。
クレジットカードとデビットカードの利便性の違い
クレジットカードとデビットカードのどちらが便利なのかは、個人の好みによるところが大きいでしょう。
ただ、通販などの支払いに使う際にはクレジットカードのほうが利便性が高いということは知っておいたほうがよろしいかと思います。
- クレジットカード・・・キャンセルや返金手続きが容易。
- デビットカード・・・キャンセルや返金手続きが困難(時間がかかる)。
クレジットカードは購入をしたその時点ではまだ引き落としはされておらず、ネットショップなどで購入した際にも、商品を発送していなければキャンセルが容易に可能です。Amazonでも注文後、しばらくの間、キャンセルが可能になっています。
しかしながら、デビットカードは使ったらすぐに銀行口座から引き落とされるというその特性上、キャンセル手続きがかなり困難で実際に返金されるまでかなりの時間を要する可能性があります。Amazonの「1クリックで今すぐ注文」機能で間違って注文してしまったら非常にめんどくさい事態になりかねません。なので、お店によってはデビットカードは使わないでくださいと言っているところも多々見受けられます。
クレジットカードの支払い期日が先なのは、「キャンセルしやすい」というメリットもあるわけです。
クレジットカードとデビットカードの不正利用に対する強さの違い
クレジットカードにもデビットカードにもほとんどのカードに、盗難補償や不正利用補償が付いています。しかし、不正利用された際には、デビットカードは弱いです。
- クレジットカード・・・不正利用の際に対処しやすい。
- デビットカード・・・不正利用に弱い。
クレジットカードは不正利用されても、すぐに気づけば利用を止めることが出来ます。また、しっかりとしているクレジットカードなら普段使わないようなお店での利用を感知したらすぐにカードを止める仕組みが出来上がっています。補償額もデビットカードよりも多いことが多いです。
一方でデビットカードの場合は不正利用されて、すぐに気付いても既に口座からお金が引かれています。不正利用されて10秒後に気付いたとしても時既に遅し、あなたの口座からお金はなくなっています。デビットカードでも不正利用かどうかの感知システムは動いているところもありますが、気付いたところで口座からお金はなくなっています。
筆者が実際にデビットカードの不正利用の被害にあった際の体験談をこちらにまとめてあるので参考にしてみてください。
補償が適応されるのにもかなり時間がかかると思ったほうが良いです(なので口座を分散していなければ、しばらくお金がない状態で生活をしなければならない可能性も)。それと、デビットカードは利用限度額を設定していなければ、口座の残高=利用限度額なので、被害額が大きくなる可能性があります。大抵のデビットカードでは補償額の上限が100万円程度なので注意が必要です。
使うなら限度額設定などの対策をしっかりと取りましょう。
クレジットカードとデビットカードのどちらがおすすめ?
→基本的にはクレジットカードのほうがおすすめ。
あくまで個人的な意見ですが、クレジットカードとデビットカードのどちらがおすすめかと言われたら18歳以上の方にはクレジットカードをおすすめしています。
デビットカードのCMとかでやってる「すぐに引き落としされて管理らくらく♪」みたいのは一面的な見方でしかありません。
ネットショッピングの際のキャンセルの不便さや不正利用された際のデメリットに目をつむったらいけないでしょう。デビットカードはポイントがそこまで貯まらないという側面も重要ですが、特にセキュリティ的な不安を危惧しています。
よって、デビットカードを作って良いのは以下のような人だと思います。
- デビットカードを使う口座で限度額の設定を行うなどの対策を取れる人
- クレジットカードの審査にどうしても通らなかった人
- 18歳未満の高校生でどうしてもネットショッピングなどで必要な人
種類によっても安心度は違うので↓の記事もよろしければ合わせて参照してみてください。
デビットカードのほうがすぐに引き落とされるから支出を管理しやすいという意見もよく耳にするのですが、マネーフォワードやZaimなどの家計簿アプリで管理すればどちらも同じではあると思います。
以前、クレジットカードを使わない理由を聞いたときに1番の理由だったのが「金銭感覚が狂うのが怖い」というものだったので、デビットカードならそのデメリットを消すことが出来るのかもしれませんが、何度も申し上げる通り、不正利用された際にお金がすぐになくなるというデメリットをしっかりと知って、対策をとった上で利用してほしいなと思います。