概要
JCBのタッチ決済って何?
JCBのタッチ決済は国際ブランドのJCBが提供している非接触決済です(国際ブランドのJCBについての解説はこちら)。
以前はJ/Speedyという名称だったのが2018年頃にJCB Contactlessへ変更、さらに2021年からは国際ブランドのVisaに合わせるような形でJCBのタッチ決済という名称で呼称されています(JCBコンタクトレスも併記してあることが多かったが現在はほぼJCBのタッチ決済で統一された)。
世界で使われているNFC (TypeA/B)という規格です。他の国際ブランドも同規格でコンタクトレス決済の仕組みを提供しています。
国際ブランド | NFC決済の名称 |
---|---|
Visa | Visaのタッチ決済 |
Mastercard | Mastercardコンタクトレス(Mastercardタッチ決済) |
JCB | JCBのタッチ決済(JCB Contactless) |
American Express | American Express Contactless |
Diners Club | ダイナースクラブ コンタクトレス (タッチ決済) |
QUICPayとJCBのタッチ決済との違い
JCBは日本においてQUICPayという電子マネー、非接触決済を提供しています。QUICPayはSuica、楽天Edy、nanaco、WAON、iDといった電子マネーが採用しているFeliCaという日本発のガラパゴスな規格です。日本では鉄道インフラで活用されているSuicaの影響もあって、FeliCaが普及しました。
世界のApple PayはJCBのタッチ決済で使われているNFC (TypeA/B)で提供されましたが、日本だけ独自にQUICPay(+iD、Suica)に対応、FeliCaで提供を開始したのが日本の独自性を表す象徴的な出来事だと言えるでしょう。結果として、QUICPayは対応カード、及び、対応店舗数で急速にそのシェアを伸ばし、現在でも国内の多くの場所で使われています。
非接触決済 | 規格 | 国内での利用可能店舗数 | 世界での利用 |
---|---|---|---|
JCBのタッチ決済 | NFC(TypeA/B) | ◯ | △世界でも使えるが、Visaのタッチ決済、Mastercardコンタクトレスなどと比べると使える場所はかなり限られる。 |
QUICPay | FeliCa | ◎ | × |
一方で、ガラパゴスな規格であるが故に、QUICPayは世界では使えませんが、JCBのタッチ決済は世界でも使えます(海外ではJCB自体が使える場所が少ないのでJCBのタッチ決済が使える場所は限られていますが・・・)。
QUICPayはどうなるの?JCBとしてはNFC (TypeA/B)が普及しないほうが良かった?
JCBの本心は定かではありませんが、日本国内ではこのままNFC (TypeA/B)などは普及することなく、非接触決済の代表としてQUICPayのシェアを伸ばしていきたいと思っていたのではないでしょうか。
ですが、Visaが三井住友カードなど各社とのタッグで日本国内でVisaのタッチ決済(Visa Contactless)を全面的に押し出し、2020年以降になって使える場所&カードが急拡大している影響で、JCBもQUICPayだけを押し出していくわけにはいかず、JCBのタッチ決済にも力を入れ始めているという現状だと推測されます。
結果、後手後手ですが、プロパーカードであるJCBオリジナルシリーズにも2021年12月からJCBのタッチ決済が付帯しました。
JCBがQUICPayを完全に捨てるとは考えづらいですが、昨今のタッチ決済、NFC (TypeA/B)の普及の速度を見ると、シェアはだいぶ落ちてくるのではないでしょうか(あくまで推測です)。
JCBのタッチ決済が使える店
JCBのタッチ決済が使えるお店は昨今増え続けています。
コンビニはセブン-イレブン、ファミリーマートなど各店利用可能。マクドナルド、モスバーガー、ドトール、イオン、すき家、ロイホ、ディズニーストアなど多くのチェーン店、対応端末を導入している小売店で利用可能です。
↓のように電波のようなマーク(リップルマーク)が付いているかどうかを確認してください。
注意点として、JCBのタッチ決済は、Visaのタッチ決済やMastercardコンタクトレスよりも使える場所が少ないです。クレジットカードのJCBが使えて、かつ、Visaのタッチ決済やMastercardコンタクトレスに対応していてもJCBのタッチ決済は使えない、ということもあり得るので事前にアクセプタンスマークをご確認ください。
JCBのタッチ決済(JCBコンタクトレス)が付帯しているカード
JCBのタッチ決済は現状↓のカードに付帯しています。まだカードに付帯している例は少ないです。
クレジットカード
代表としてJCBが発行するプロパーカードなどに付帯しています(2021年12月から発行された新デザインから付帯)。
発行元 | クレジットカード |
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JCB | JCBオリジナルシリーズ各種 など |
| |
楽天カード | |
イオン銀行 | イオンカード(JCB) |
クレディセゾン |
など |
JACCS |
など |
ポケットカード |
など |
三菱UFJニコス |
|
オリコカード |
など |
TS CUBIC | TS CUBIC CARD(JCB) |
アプラス |
|
UCSカード | majica donpen card |
デビットカード
発行元 | クレジットカード |
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楽天 | 楽天銀行デビットカード(JCB) |
イオン銀行 | イオン銀行キャッシュ+デビット |
セブン銀行 | セブン銀行デビットカード |
ブランドプリペイド
付帯しているブランドプリペイドはありません(Apple Payを通じて利用できるブランドプリペイドはあり)。
JCBのタッチ決済が利用可能なスマホ決済
JCBのタッチ決済はApple Pay、Google Payともに対応しています。
スマホ決済 | JCBのタッチ決済への対応 |
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Apple Pay | 各種クレジットカード・デビットカード・ブランドプリペイドを登録することで利用可能 |
Google Pay |
Apple Payは多くのJCBデビットも登録できて、JCBのタッチ決済も利用可能です。
Google Payはコンタクトレス決済は長年、一部のカードでVisaのタッチ決済、Mastercardタッチ決済にのみ対応している形でしたが、2024年8月末からようやくJCBのタッチ決済に対応しました(My JCBアプリに登録できる各種JCBカード)。
JCBのタッチ決済(JCBコンタクトレス)の使い方
JCBのタッチ決済は対応カード、及び、対応デバイスを決済端末にかざす形で支払います。Apple PayはQUICPayと同様に本人認証をしてからかざします。
初心者の方がつまずくのは支払手段の「宣言方法」です。QUICPayなら「QUICPayで」、Suicaなら「Suicaで」と伝えるだけで良いですが、コンタクトレス決済は認知度がそこまで高くないため、店員さんによっては知らないことも多々あります。そのため「JCBのタッチ決済で」と伝えても「???」という顔をされます。
コンビニなど多くの場所では「クレジットカードで」と伝えて端末にタッチすればOKなので問題ないのですが、中には決済端末の関係で「NFC Payで」などと伝えないと伝わらない場所もあります。この宣言方法がバラバラな点が日本国内におけるコンタクトレス決済の大きな問題点です。
↓のようにデカデカと宣伝されているお店では使いやすいのですが・・・。
詳細は↓記事にまとめてあるので興味がある方はご参照ください。
主なチェーン店でしたら、当サイトの検索システムで利用可能店一覧から個別ページに飛んで頂けますと各店での宣言方法を掲載しているので合わせて参考にしてみてください。
JCBのタッチ決済はニューヨーク州都市交通局運営の地下鉄・バスで使える
ニューヨーク州都市交通局が運営する地下鉄やバスはコンタクトレス決済で電車やバスに乗れる取り組みを行っていますが、2021年11月15日からはJCBのタッチ決済も対応しました。JCBカードをかざすだけでニューヨークで地下鉄に乗れます。
日本国内ではVisaを中心にこれらの取り組みを行っています。詳細なレポートなどは↓をご参照くださいませ。
Visaからは遅れていますが、JCBでもタッチ決済での電車やバスに乗る取り組みが広まっています。
JCBのタッチ決済のまとめとQUICPayの今後
2021年12月に自社発行のオリジナルシリーズにJCBのタッチ決済を搭載、キャンペーンなども行っています。一方で、QUICPayのキャンペーンは頻度はだいぶ少なくなってきました。
今後はJCBのタッチ決済が付帯するカードも増え、QUICPayのキャンペーンは減り、タッチ決済のキャンペーンが増えていくのではないでしょうか。タッチ決済を長年追いかけてきていますが、この数年の普及スピードは凄まじく、勢いを止めることは出来ないと考えます。
日本発の国際ブランドとして、世界でも使われるJCBのタッチ決済としても頑張ってもらいたいところですが、同時にQUICPayがどんどん使われなくなってしまうのも寂しい気がします。